2007年夏、最後に残った、東京-九州間の寝台特急、「はやぶさ」「富士」乗車の旅に出ました。

往きの「はやぶさ」から。

まずは、乗車当日朝の上りを見に行き、牽引機のチェックです。当日は49号機でした。乗ってしまうと機関車はなかなか撮れないので、走行写真を押さえておきました。通過する客車を眺めながら今晩あれに乗れると思うと胸が高鳴ります。
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当日銀河を牽くPFに牽かれ、ちょっと味気ないプッシュプル方式で東京駅10番線に入線。まあ夕刻ラッシュ時の東京駅に機回しのホームを空けておいてもらえるほどもはや寝台特急にプライオリティはないことは致し方ありません。
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食堂車も車内販売もないという寂しい注意事項を聞いていると、汽笛一声もなく静かに発車。しかし発車は客レのそれです。やがて、この九州特急にこそふさわしいと、個人的には思う客車オルゴールで放送開始。詳しくは次の横浜発車後というアナウンス。006

横浜を出たところで、停車駅と到着時刻のアナウンスです。いまここを走る列車で九州の駅名を聞けるのは、この列車だけですね。そして大阪を出ると広島まで止まりませんという寝台特急らしいフレーズ。旅情がかきたてられます。窓の外に目をやると完全に日常生活空間。いつもこの列車を撮っている人道橋、トンネル出口、の光景が夕暮れの窓の外を飛んでいきます。ほどなく自宅最寄り駅、東戸塚通過。銀河のときと異なり、やっと日が暮れる時刻なので駅周辺は、まだまだ活気に満ちています。
さてB寝台個室のソロですが、まず下段個室はこんな感じ。
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座ると頭の上は上段個室のベッド部になりますが、やや圧迫感がある程度でそれほど気にするものではないように感じました。窓は小さめですが、電車寝台の上中段やプルマン式A寝台の上段の窓と比べると、十分大きな窓です。画像はありませんが個室の廊下側にも丸窓があります。カーテンは両側とも横引きカーテンでした。窓際の荷棚や折りたたみ式の比較的大きなテーブルなど部屋の使い勝手も上々です。
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廊下部の天井裏は通常のハネのように荷物スペースになっていて大きめなバッグなど収納できます。普通のハネだとなんとなくこの廊下の天井裏は上段の人の管轄にあるような気がして下段だと利用しづらいのですが個室なので何の心配もなく荷物を置けます。ベッド(シート)は、B寝台の下段と同じなのでもちろん3人並んで座れます。今回のように親子3人でソロ2室利用という奇特な利用をするとすれば、下段室がリビング(?)になります。3人入るとちょっと冷房の容量が足りないかも。冷風は4つの送風口から出てきて風量調整可能です。もちろん一人なら十分の冷房効果あり。
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一方、上段室はこんな感じです。
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窓側から廊下側を望むとこんな感じ。
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廊下から引き戸を開けるとすぐ階段。階段上から入口を望むとこうです。
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ベッドの階段部にはガードがつきます。ベッドの1/2~2/3にはこのベッドガードがあり、足元は階段になるので、ベッドをシートとして座れるのは、一人。荷物置きや折りたたみテーブルなどは下段と同様。廊下天井裏の荷物スペースへの収納は、荷物を持ち上げなくてもよいので下段より楽です。ちなみにこの荷物スペースの奥にコンセントがありました。デジカメのバッテリ充電に使わせてもらいましたが、よじ登らないと手が届かない下段の荷物スペースにもこのコンセントはあったので乗客向けのものではないのかもしれません。

枕元のコントローラーは、こんな感じで、これは下段も同様です。かつてあった機能が廃止された痕跡のようなものもあります。
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この枕元コントローラーは、上下段とも窓側にありますが、枕木並行に寝台を持つハネとオロネ25のA個は、両方とも廊下側枕・窓側足だったので、窓側枕のこの配置は珍しいと感じました。

冷房の効きは、吹き出し口がある天井が近いだけあって下段よりダイレクトに効く感じです。実際寝るときは4つある送風口のうち3つは閉じ、残る1つも絞っていましたが、十分でした。例えば、記憶が正しければ、70年代後半の富士は静岡県内の停車駅は熱海、浜松のみ、はやぶさに至っては静岡のみだったはずですが、今回は、熱海、沼津、富士、静岡、浜松と停車。まぁ寝ている時間でもないし、今どこを走っているのかが解りやすいという意味では、せっかくの東海道在来線長距離列車だし、悪くはないかも。放送終了といってもまだ9時なので寝るには早いし、惜しい。というわけで2分停車の浜松で66の撮影を敢行!と思ったらホーム先端の停車で断念。次の2分停車の名古屋で再挑戦。やっと撮れました。ま、あんまり「撮れた」うちに入りませんが…。
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岐阜停車、大垣を通過を眺めて、横になりました。こどもと一緒に上段室。70cm幅なのでこどもを寝かせたら、自分は横になれないだろうから、ハザばりに座って寝ることを覚悟してましたが、頭をお互いに反対側にすればなんとか横になれました。
ここで異変が…
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未明の遅れは、そのまま引きずっていました。
廊下に出て、窓の外に目をやると、早朝の瀬戸内海。
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山口県に入り岩国停車。岩徳線の電車でしょうか?103系が見えます。103系がローカル線を走っていることは、ありえる事だと納得できますが、高運転台車のローカル仕業にはにはなんとなく違和感を覚えます。
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この風景で朝を迎えられる寝台特急もこの「はやぶさ・富士」一本だけになってしまいました。
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やがて6時半前には、放送開始。実際には柳井到着後だったかな?13~15分ほどの遅れを持ちながら運転をしているというお詫びから。放送によると、踏み切りの非常ボタンが押されたための停車で遅れているとのこと。また、徳山から弁当、サンドウィッチ、飲み物等の車内販売を始めるという朗報も。朝食は昨日買いこんで乗っているので心配ないのですが、熱いコーヒーが飲めそうというのは嬉しい誤算でした。

柳井、下松、徳山と山口県の駅をしらみつぶしに停車。これは、静岡と似た状況ですね。かつての下関あさかぜ並に止まっていきます。021

やがて、防府停車。高架駅となり、このあたりの駅ではここ20年ほどでもっとも印象が変わってしまった駅ではないでしょうか?実は思い入れがある場所なので、ちょっと降りて駅の様子を撮影。
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やがて、東京を出て12時間半余り、約1,100kmの行程を経て下関に到着です。かつての寝台特急に比べ、かなりギリギリのダイヤが組まれているようで、EF66をもってしても、未明に発生した15分の遅れは遂に詰めることはできませんでした。高速貨物が行き交う夜中のスジは、もともとかなり立っていて余裕がないことが予想されます。

本州西端下関に着くと、東京から約1100kmを牽引してきたEF6649が切り離されます。毎日繰り返されていることとはわかっていても、たまに自分が乗ったときのこの解結は、達成感を伴うドラマのように感じます。
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というわけでローズピンクの400番台、EF81410の登場です。あとから調べたところ、この400番台は一般型からの改造機で重連総括ができ暖房装置の一部撤去の改造を受けているようです。下関の下りでは、機関車を先頭から撮れました。頑張ればEF66も、客車がつながっているうちに先頭から撮れたでしょう。

026下関を発車した列車は、右下に車両基地を見ながら高架をしばらく進み、やがて、開通65年を迎える海底トンネルに吸い込まれていきます。この関門トンネルをくぐるのは実に24年ぶり。トンネルも半分を越え上り坂になりEF81の6つの電動機が12両の客車を引っ張り上げるとトンネル出口、続いてデッドセクションを通過し、門司駅構内に進入。いよいよ九州上陸です。

わずか一駅、数kmですが旅行者にとっては大きな一駅です。027

EF81が切り離されると真っ赤な交流機、ED76の登場。元鉄、国鉄ヲタにとって九州を実感する車両は新しい交流特急電車たちではなく、このED76ですね。

「はやぶさ」を牽くED76は、熊本でのHM付け替えを省略するためか、両側にHMを付けていました。このため客車連結面側でもHMが見られます。ちなみに門司では下り「はやぶさ」の先頭は撮れません。それだけに両側HMはありがたい運用です。九州独特の丸い面に、これまた九州独特の緑のはやぶさが赤い車体に映えます。
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門司では後ろ6両の「富士」を切り離し「はやぶさ」は6両の身軽な編成になり「富士」より一足先に出発です。

車窓から新しい関門の主、EH500を眺めたり、ステンレスのEF81300番台の姿をみつけちょっと感動したり、としているうちにほどなく小倉です。小倉を出ると次は降車駅の博多です。山口県内を頻繁に止まってきた「はやぶさ・富士」ですが、この小倉博多間ノンストップは旧き佳き時代並です。もっとも、それも時刻表上の話で上りは、いつのまにか「有明」に抜かれているのはご愛敬(下りも定刻なら「ソニック」に抜かれますね。)。しかしこの15分遅れのハンディをもった当日の「はやぶさ」は違います。のんびりダイヤの余裕を詰めるような力走。牽引機がED76になってからホイッスルをよく鳴らしてくれます。客車特急らしくて良いですね。25年前にED73に牽かれた「あさかぜ4号」に乗って以来に通る路を逆にトレースしていきます。朝9時を過ぎた時間帯に個室寝台で過ごすのも長距離寝台特急でこそできる贅沢な時間の過ごし方です。そんな個室ソロの旅もあと僅か。一晩過ごした部屋を離れなければならないのは名残惜しいことです。博多到着の前に車掌さんが個室のキーを回収しにきました。
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(復路偏に続く)
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